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ゴミ屋敷はなぜできる? -発生のプロセスと住人の心理状態ー


●序文
近年テレビでもよく目にする「ゴミ屋敷」という言葉。社会問題としての認知が進んだ為に多く取り上げられるようになったものと思われます。
社会問題として認知されてきたことにより、たんなる迷惑な現象としてとらえるのではく、社会として取り組まなければならない問題であるという意識が形成されてきました。
それは、たんなる迷惑行為としてではなく発生に至るプロセスを注目できるようになったからだと思われます。

1.ゴミ屋敷の数


じつは全国でどの程度のゴミ屋敷が発生しているのか統計だった数字というのは出されていません。平成30年環境省の報告書には以下の数字が平成29年度の数字として記載されています。
全国の地方自治体1741市区町村へ「ゴミ屋敷」の事案を認知しているか?という問いに対して認知していると答えたのは34.2%の594自治体で65.8%の1145自治体は認知していないと回答しています。つまりはこの程度の共通認識しか現状においてはなされていないのです。
数字出典:平成29年度「ゴミ屋敷」に関する調査報告書 (環境省)

それではゴミ屋敷が、何故形成されていくのかを考えてみましょう。

2.ゴミ屋敷が形成されるきっかけ

認知のゆがみによる収集癖

本来ゴミは「捨てるべきもの」として認知されるのですが、ゴミ屋敷となってしまう住人には「捨てるべきもの」あるいは「価値のないもの」として認知されないケースがあります。
このケースにおいてこれらのものはどのように見られているかというと、「いつか使うかもしれないもの」「まだ使えるもの」として見えています。このために「必要のないもの=ごみ」としての認識は芽生えず、とっておくものとして認知されます。
はじめのうちは、整理しておいてなにをどこにというような置き場所を定めていても、溢れかえってくると、整理という行動自体が困難になります。結果、住居の中に無秩序にものが詰めこめられた状態になり、ゴミ部屋からゴミ屋敷と発展してゆくことになります。
これを「捨てられない由来のゴミ屋敷」とカテゴライズすると、続く第2ステージとして
「収集由来のゴミ屋敷」というものが浮かび上がってきます。
これは、自分の家の中で生じたものだけでなく、外にあるものを集めてきてしまうことで形成されます。この外にあるものは道端に放棄されているものであるとか、時にはゴミの集積場所にあるものを集めてきてしまうものです。
収集してしまう人の体力にもよりますが、家電品から衣類、プラゴミ、布団など多岐にわたって集められ、衣類や布団に水が染み込み腐敗臭を放つようになったり、集積場所から持ってきた袋の中に食品残渣などが含まれていてそれが腐って異臭を放ったりするようになります。

生活環境によるもの

集合住宅に住んでいる場合は、自分の居住区分に取り込むまでの経路があるため、収集癖による形成はあまり考えられません。それは、他の居住者の目があるからです。
多くの場合ゴミ屋敷化(ゴミ部屋化)は捨てられないことにより形成されます。
この捨てられないというのも様々なケースがあります。

・独居であり高齢化により、ごみの収集場所まで溜めたゴミを運ぶのが困難になった
・仕事や生活に追われており、ゴミ出しのサイクルがあわず溜まっていってしまった
・セルフネグレクト等心理的要因による生活習慣の破壊

多くのケースで、この異臭を放つようになった状態で初めて周囲が「ゴミ屋敷」問題として認識するようになります。隣家としてまたは近所として直接の「被害」を認識するからです。また、目に見えてゴミとして目立ってきたときに近隣住民から、または親類縁者からごみの収集をやめるように言われることも多くなります。
しかしながら、こうなってしまう当の本人は聞く耳を持たないケースが多いようです。
そもそも、それを判断することができる心理状態ではないからであるともいえます。

1のケース2のケースともにゴミ屋敷問題は実は心理的な原因による発生と近年ではとらえられています。

心理的要因とは?

それでは、その心理的要因を紐解いてゆきましょう。

1.ためこみ症

自分の好みの本や衣類、雑貨などを必要以上に収集してそれを捨てることができず、家中にあふれて生活が困難になる症状。近年では精神疾患の一つであるともいわれ注目され始めました。従来は「強迫観念症」の一種とされてきたが、2013年米国精神医学会(APA)の発行する「DSM-5」で別の症例として定義されなおした「自閉症スペクトラム障害」にカテゴライズされるものと考えられるようになりました。この障害は社会的コミュニケーションに異常をきたすものといわれています。レベル1からレベル3の重篤度を定めています。レベル1では「柔軟性のない行動が、1つあるいはそれ以上のコンテキストで機能に重大な干渉を生じる。活動の切り替えの困難。組織化や計画性の問題が独立性を妨害する」と行動を定義しています。過度の収集癖は反復行動の表れで、それを捨てるという活動の切り替えが困難になっている状況が症状に合致しています。
※出典 「アメリカ精神医学会の改訂診断基準 DSM-5: 神経発達障害と知的障害,自閉症スペクトラム障害」 椙山女学園大学教育学部 宮川 充司氏
https://core.ac.uk/download/pdf/230633954.pdf

2.ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)

学齢期の小児の3~7%程度と考えられ、有病率は報告によって差がありますが、学齢期の小児の3~7%程度と考えられています。アメリカ精神医学会(APA)のDSM-5では下記の症状すべてを満たすときにADHDと診断されます。
1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
2.症状のいくつかが12歳以前より認められること
3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと
※ADHDの診断は医師の診察で観察された行動上の特徴に基づいて行われ、それ単独で診断ができるような確立した医学的検査はありません。
※出典 e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」

ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療

ゴミ屋敷問題における心理的要因としてADHDを考えたとき、状態を作り出した当人は上記1.の「不注意」が強く現れた状態であると考えられています。
いわゆる優先順位をつけることができず、曜日ごとなどに決められているゴミ出しをできない。この積み重ねにより部屋の中にゴミが滞留しゴミ部屋(屋敷)が発生する構造となるのです。

3.セルネグレクト

ネグレクトとは“幼児・高齢者などの社会的弱者に対し、その保護・養育義務を果たさず放任する行為のこと”
※引用元e-ヘルスネット

ネグレクト


上記の行為が自分自身にむけられ、基本的ニーズである食事や薬の摂取を怠ったり、またはその他の必要な活動を行わなくなったり、身の回りを清潔にすることに無頓着になる。この状態を「セルフネグレクト」と言い表すことができます。
特にこの症状は高齢者に現れることが多く、以下のような状況の時に起こしやすいと言われています。
・一人暮らし(孤立化)
・アルツハイマー病などによる、記憶力、判断力の低下
・複数の慢性疾患
・薬物などの物質濫用
・重度のうつ病

4.認知症

前段の項目でも症状の一つとしてあげられるものですが、従来は一つのカテゴリーとして認識されていました。発症の原因は脳の病気や障害など様々ですが、症状としては以下の状態を示していると言われています。
認知機能の低下により、日常生活全般に支障をきたしている。
この認知症にはいくつかの種類が存在してます。
・アルツハイマー型認知症
認知症と呼ばれる症状の中では最も多く、脳神経の変性により脳の一部が委縮してゆくことによって起きる認知症です。発症のトリガーは「もの忘れ」が多くゆっくり進行してゆくのが特徴です。

・血管性認知症
脳梗塞、脳出血等の脳血管障害により発症する認知症です。
障害の発生した脳の部位によって症状が異なるので「まだら認知症」になっているのが特徴と言えます。症状の進
行は障害の度合いや人によって差があり、ゆっくり進む場合もあれば、急速に進行することもあるようです。
また、この症状はアルツハイマー型と合併して発症するケースも少なくないようです。

・レビー小体型認知症
幻視や手足の震えによる歩行困難症状(パーキンソン症状)が現れるのが特徴です。

・前頭側頭型認知症
スムーズに言葉が出てこない、言い間違いが多い、感情の抑制が効かなくなる、社会のルールを守れなくなるなどの症状がでるとされています。

通常、これらの認知症は加齢とともに発症することが多く日本における65歳以上の認知症患者の数はおよそ600万人(2020年現在)2025年には約700万人に達し、高齢者の1/5が発症しているという予測があり認知症対策は国の重要課題となってゆくことは間違いありません。
※数字出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルスより
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
ゴミ屋敷問題の原因となりうる認知症ですが、この問題以外にも深刻な影響をもたらすものとして認識を新たにする必要があると言えます。

また、アルツハイマー認知症に関しては最近の研究では65歳以下の若年層でも発症しているケースがみられます。ADHDは高齢者よりは若い世代に発症する症状と言えますし、セルフネグレクトもやはり高齢者だけに起こりうるものではありません。うつ病をトリガーとするものであれば、その発生は増えてゆく傾向にあると言えるでしょう。
なぜならば、COVID-19により被った社会的、経済的な損失によりこの患者数は大幅に増加したと言われているからです。
これらの心の病気の患者数は全年齢で増加傾向にあり、2017年の調査では下図のような統計が発表されています。

うつ病学会ではオックスフォード大学作成の「COVID-19に対応した精神医療ガイドライン」を翻訳し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」として公開しています。主に医療現場へ向けたガイドラインですが、職場や学校におけるメンタルヘルスを正常な状態に保つための指導の指針になりうるものとなっています。
出典:日本うつ病学会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/teigen/covid19.html

まとめ

高齢者への家族によるケア、職場や学校の場においての心のケアがゴミ屋敷問題の解決だけでなく、今後起こりうる様々な問題への解決の糸口となってゆくことは想像に難くありません。
正しい情報を取得して、私たち一人一人が自覚し対処すべき重要な課題といえるのではないでしょうか?

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