●信頼性
まず第一に考えなければならないのが依頼する業者の信頼に足る業者であるか否かです。
遺品整理は単なる不要品回収とは異なります。それは単なるごみ扱いの不用品の処分ではないからです。 従って遺品整理では単純な処分ではなく、さまざまな状況が考慮されます。故人がこれまで生活していた証拠となる品物の整理が必要とされるため、貴重品や思い出の品を探し出す必要があるケースが少なくありません。 このような繊細な作業を安心して委託できる信頼できる業者を選ぶことが、遺品整理の最初のステップと言えます。

●費用面
葬儀及びその後の手続きには、想定以上に多額の費用がかかる場合があります。 葬儀費用や墓地手配、必要な手続きなどを合算すると、総額が意外に高くなることがあります。葬儀は普段から関わりのあるものではないため、実際に調べて初めてその合計金額に驚くということも珍しくありません。 なるべく他の項目での出費を抑えたいと考える方もいらっしゃるでしょう。 遺品整理を業者に依頼する場合、業者によって価格が大きく異なるため、比較検討を十分に行い、最終的な金額を見極めて依頼することが重要です。そのためにも、複数の業者から見積もりを取ることが有効です。

●オプションサービス
遺品整理は相続に関連する問題から切り離して考えることが難しいです。 たとえば、相続した不動産の売却に伴う遺品整理などがそれに当たります。 不動産を売却するため、遺品整理後の物件は他の人に引き渡される必要があります。そのため、遺された遺品をそのまま残しておくことはできず、さらに物件を売り出すためには、内部を空にして空き家状態にしなければならず、物件の価値の低下を招きます。 この時、単に整理や不要品の回収だけでなく、作業後の清掃など、原状復帰的な処理が必要です。遺品業者の中には、ハウスクリーニング作業までを総合的に行う業者や、大手ハウスクリーニング業者と提携している業者もあります。作業後の状態を考慮して業者を選ぶ必要があります。 また、遺産相続などに関する相談ができる弁護士や行政書士などと提携している業者も存在します。 すべてのことを一括して依頼したい場合は、こうした業者を選ぶことも一つの手段と言えます。

相続を行うためには、まず相続財産を明確にする必要があります。相続されるリスト化された資産の総計が評価額の合計です。 これを基に遺産分割協議書の作成が行われます。この作業は、故人の死後3年以内に行われ、相続財産を明確にし、相続人それぞれが適切な相続税を支払うために必要です。相続の話し合いの中で、形見分けのために必要なものが決まり、不要となった品物は遺品整理業者に依頼して片付けられます。 遺産分割協議書では、全ての相続人の合意が必要であり、各自が実印を押印し所持することになります。 あらかじめ弁護士によって作成された遺言書があり、死後の財産分与に関して指定がある場合は上記の手続きは必要ありません。ただし、遺言書に記載されていない資産が見つかった場合は、別途この書類の作成が必要となることに注意が必要です。

信頼性の高い業者を選ぶことは意外にも困難です。 安易に選んだポストやチラシからの業者に頼んだ場合、後悔する結果になるケースが少なくありません。消費者庁に寄せられる遺品整理に関する苦情の中でも、「チラシで見つけた業者に頼んだら高額な料金を請求された」という「詐欺的なケース」が最も多いと報告されています。信頼のおけない業者に遺品整理を依頼すると、作業中にタンスなどから発見された現金や貴金属が盗まれる危険性さえあります。数千万円の札束や金塊、金貨などの貴金属が整理中に発見されたというニュースを聞いたことはありませんか？整理する遺品の中にこれが眠っていないとも限りません。 このような事態を避けるため、信頼できる業者の目安は、しっかりと社員教育を行っており、アルバイトや派遣社員のみで作業を行わないことを明確に示している点です。

遺品整理における特殊清掃とは、孤独死などで死亡確認が遅れ、その結果、ご遺体が腐敗状態になった部屋などで行われる清掃のことを指します。
ご遺体の状態は発見時によりますが、死後の経過時間が長い場合には体液の漏れや組織の溶解などにより寝具が汚染され、さらには畳や床板を浸透して建物の構造材まで影響を及ぼすことがあります。 このような場合、単に汚染された寝具や畳を取り除くだけでは、目に見える汚損に対処したとしか言えず、「異臭」に対する対策も不十分です。壁紙の剥がしや体液によって汚染された床の表面コンクリートの剥離など、臭いの染み込んだ状態を完全に取り除くためにはさらなる作業が必要です。通常の原状復帰作業などを行うハウスクリーニング業者では、このようなケースに対応することができません。したがって、特殊清掃の技術を有する業者に依頼する必要があるのです。

遺品整理は故人の所有物を整理する家財整理の一環であり、最近では終活の一環として事前に家財整理を行う傾向も見られます。たとえば、「断捨離」という言葉が一時期流行し、片づけに関する書籍や断捨離を解説する動画の登場も増えましたね。
生前整理は、終活においてミニマルな生活に移行することを意味するだけでなく、自分の死後に家族などに迷惑をかけたくないという思いから生まれた考え方です。具体的なタイミングとしては、高齢者施設や老人ホームへの移動時に家財整理を行い、遺言書を作成するなどの活動を行う人が増えています。近年、生前整理がよく行われるようになったのにはこのような背景があります。遺品整理業者も生前整理を受け付ける場合が増えていますので、相談してみると早期に悩みを解消することができるかもしれませんね。

遺族による遺品整理以外にも、不動産会社や管理会社が行う整理のケースも存在します。前述の通り、遺品整理は不動産の売却前に必要な場合がありますが、故人がその死後の財産管理者を明確に指定していない場合もあります。特に「孤独死」と呼ばれる独居状態で亡くなったケースが該当します。この場合、残された物品は物件の管理側（管理会社や不動産所有者）が撤去しなければなりません。
従来の枠組みでは、所有権が明確になっていない残置物は長期間にわたり物件の入れ替えを妨げるケースが少なくありませんでした。この問題の解決策として、国土交通省は2021年5月に新たな標準契約約款を作成し、「残置物に関する項目」を導入しました。賃貸契約を結ぶ際に、万一の場合に「残された品物の管理者」を指定することが含まれています。以前は遺族のみがその「管理者」の対象でしたが、保証会社などの第三者も管理者として指定することが可能になりました。この改定は、不動産所有者にとって有益な変更であり、これまで高齢者など生活弱者と呼ばれる人々が物件への入居を拒まれるケースもありましたが、契約書上で将来の管理者が明確になることで、独居高齢者などの生活弱者が物件を借りやすくなるというメリットも生まれました。 残置物の処分においては、契約時に明確にルールを定めることが重要です。これにより、トラブルを未然に防ぐことができます。また、遺品整理には個人情報の取り扱いや法的手続きなどさまざまな課題が存在するため、不動産会社や管理会社が遺品整理を担当する場合には、適切な知識と経験が不可欠です。現在では、国や自治体、民間業者が協力し、関連組織を設立して、遺品整理や残置物処理に取り組んでいます。これにより、トラブルの予防や遺族や所有者の負担の軽減にも支援が提供されるようになりました。
例
一般社団法人全国居住支援法人協議会　ウェブサイト
社会福祉法人　全国社会福祉協議会　ウェブサイト