遺品整理はいつからはじめるべき？「気を付けるべきことと、配慮したい遺族の気持ち」

2023年01月19日

大切な家族や親族が亡くなった時、悲しみに暮れると同時に、葬儀をはじめとする様々な手続きに追われることになります。 その中でも特に頭を悩まされるのが、「遺品整理をいつ始めるか？」という問題です。 特に故人への想いが強ければ強いほど、思い出の詰まった遺品を捨てられず、そのままにしてしまうケースも多いです。 そこで今回は、残された遺族が遺品整理を行うタイミングについて解説していきます。

 

注意したい「住まい」ごとの遺品整理のタイミング

遺品整理を行うタイミングですが、亡くなった方が住んでいた家の種類によって変わってくるため、それぞれのケースを見ていきます。

賃貸のとき、持ち家のとき

亡くなった方が賃貸物件に一人暮らしをしていた場合、住む人がいなくなるため、物件を明け渡す必要が出てきます。その場合は、賃貸オーナーと退去時期を相談し、退去日までに遺品整理を終える必要があります。
一般的には、亡くなった日の月末か、翌月末までで契約期間を終了とするケースが多いので、それまでに遺品整理を完了させる必要があります。あるいは「四十九日の法要まで待つ」という選択をされる方もいらっしゃいます。なぜなら死後四十九日までは、「死者の魂がこの世をさまよっている期間」とされているため、それまでの期間は自身の気持ちの整理とともに「故人のために住む家を残しておきたい」と考える方もいるからです。
一方で、住まいが持ち家だった場合は、すぐに住居を明け渡す必要がないため、遺品整理を急ぐ必要もありません。もちろん早めに遺品整理を進めても構いませんが、他の親族に相談せずに進めてしまうことで後々のトラブルに繋がってしまうケースもあるので十分な配慮が必要です。

同居家族がいるとき、いないとき

同居家族がいる場合も、すぐに住居を明け渡す必要がないため、遺品整理を急ぐ必要はありません。さらに残された家族も、最近まで一緒に暮らしていた故人の遺品を整理することに対して抵抗感を感じてしまう人も少なくありません。特に「自分が生きている間は、遺品をそのまま残しておきたい」と考える遺族も多いため、亡くなってすぐに遺品整理が行われるケースは稀なようです。
一方で、同居家族がいない場合は遺品を管理する人もいないため、遺品を「いつ処分するか？」「誰が処分するか？」を遺族間で話し合うことになります。
遺品の中でも価値があるものは遺産相続の対象となるため、後々のトラブルを避ける意味でも、四十九日などの法要で親族が集まったときに相談して決めておくことが望ましいです。

遺品整理をはじめるタイミング

故人が亡くなった直後は、死亡届の提出や葬儀などに追われて、なかなか遺品整理までは手が回りません。さらに他の遺族と相談しないまま進めてしまうと、後々のトラブルに発展しかねません。そこで、ここからは遺品整理を行う適切なタイミングについて解説していきます。

遺品整理のタイミング①：葬儀後

遺品整理の一番早いタイミングとしては、親族が集まって葬儀や告別式を行った後です。特に故人が賃貸や施設に入居していた場合は、できるだけ早く遺品整理を行う必要があるため、このタイミングで行われるケースが多いです。
ただし、葬儀が終わってからも「遺骨迎え」や「香典の整理」「各所への支払いや挨拶回り」など遺族にやるべきことが多いため、遺品整理について話し合える時間が短く、遺族間で話がまとまらないことも多々あります。また、何より大切な家族・親族を亡くしたばかりで気持ちの整理がつかず、葬儀直後に遺品整理に取り掛かることができない方もいらっしゃいます。

遺品整理のタイミング②：法要後

四十九日法要は葬儀が一段落するタイミングでもあるため、「遺品整理の目安」と言われています。
故人が亡くなってから49日目は「満中陰(まんちゅういん)」と呼ばれ、この日を境に忌明けとなります。
この頃には遺族の悲しみも幾分か和らいでいるだけでなく、法要に合わせて親族が集まっているため、遺品整理について話し合ったり、実際に遺品整理を始めたりするのに適したタイミングとも言えるでしょう。

遺品整理のタイミング③：相続税算出時

遺品整理を行う最も遅いタイミングとして、相続税の算出時が挙げられます。
遺品の中には価値がある物が含まれることもあり、その場合は遺産相続の対象となって相続税がかかってきます。そのため、あえて故人の遺品を残しておいて、それをお金に換算し、相続税の額を算出してから遺品整理や財産相続を行うことで「思いがけずに相続税が発生してしまう」という事態を防ぐことができます。
相続税は、「故人が亡くなったことを知ってから10ヶ月以内」に納税する必要があるため、それまでに遺品を整理し、その財産価値を取りまとめておかなければなりません。
国税庁　相続税申告期限について

遺族の気持ちはそれぞれ。心身のケアが最優先事項

故人が亡くなった直後、遺族には通夜や葬儀などやるべきことがたくさんあります。
ただでさえ、故人が亡くなった悲しみを感じている真っ只中であり、その上で遺品整理もするとなると、心労が重なったり、心身のバランスを崩してしまったりする懸念もあります。
さらに、故人の思い出の品や日頃使っていた物を処分することに抵抗感を感じたり気持ちの整理がつかなかったりする遺族も多く、故人が亡くなったからといって早々に遺品整理を始められるとは限りません。
遺族の気持ちになって考えるのであれば、「四十九日法要」や「相続の整理」など、故人が亡くなってからある程度の時間が経ち、遺族の心の整理ができたタイミングで行うのが良いでしょう。
心の整理がつかないまま、無理に遺品整理を進めてしまうと、余計に心が乱されて遺品整理が思うように進まなくなってしまいます。特に遺品を見ることで故人との思い出が蘇ってしまい、それを処分することに躊躇して、結局手が止まってしまうケースもよくあります。
そのため、心の整理がつくまでの期間を作るために、数年ほど実家を「そのままの状態にしている」という人も少なくありません。
ただし、故人が賃貸に住んでいた場合、退去完了まで家賃を払い続ける必要があるため、遺品をいつまでそのままにしておくかは金銭面との相談となってきます。

故人の思い出を整理するには気持ちの整理も必要。プロに頼るのも手段の一つです

遺品整理は「いつまでに行わなければならない」という明確な期限が決められていないため、始めるタイミングは人それぞれです。
一般的な目安としては、葬儀や告別式などの手続きが一区切りつく四十九日法要に合わせて行われるケースが多いようです。
ただし、故人を失った悲しみが癒えていない状態で、故人の思い出の品を整理することに抵抗を感じる遺族も多く、体力的にも精神的にも負担が大きいため、無理に整理を進めることで心労がかさんでしまうリスクもあります。
故人の思い出を整理するには、まず気持ちの整理が必要となります。もし気持ちの整理が追いついていない状態で遺品整理を進めてしまうと、さらに悲しみが深まってしまうケースもあるからです。
とはいえ、「賃貸なので早めに退去しないといけない」「実家を何年も空き家にできない」などの事情で、気持ちの整理ができていない中で、遺品整理を進めなければならない状況に追い込まれることもあります。
そこで遺品整理を進めるために「プロに依頼する方法」もあります。
故人の思い出が詰まった住まいを整理することは、遺族にとっては精神的にもつらいものです。しかし、専門の業者に依頼することで、一般的な不用品回収業者とは異なり、遺品の取扱についての知識と理解があるため、遺族の心身の負担を軽減できます。
また、遺品整理の経験豊富な専門家でもあるため、遺品の仕分けから各種手続きまですべて任せることができる点も安心です。「物が多くて家族だけでは片付けきれない…」「遺品の整理や分別が必要だけど、どうやっていいのかわからない…」「生前の思い出の品を見るのはまだつらい…」という方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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